文字をもたないインドネシアの少数民族、ハングルを採用という記事。
最初はいいことじゃないかと思ってたのだが、よくよく考えると恐ろしいというか、韓国やりおったなというか、その手があったかというか、そんな考えに至った。
以前にも書いた通り、もはや一つの国の人材だけで世界と真っ向勝負できるような企業は作れないだろうなというのがある。
じゃあどうするかといったら当然諸外国からすばらしい人材を集めて来るわけで、その点とても強いのがアメリカである。経済も強くほとんどの国で第二言語として採用される英語が通じるからだ。
日本はというと、日本語という独自言語、平仮名片仮名という独自の文字があり、多くの漢字を利用するという点で、割と覚えにくい言語ではないかと思う。また日本以外で使い道がまったくない。
そういう意味でも日本に各地から優秀な人材に来てもらうというのは、けっこう難度の高いことであろう。
で、韓国うまくやったなあというのは、逆に自国の文字を輸出してしまったことだ。
もちろん違う言語なんだからハングルを採用したところで韓国語が理解できるようになるわけではないが、少なくとも「読める」ようにはなるわけだ。これは意外と重要なことで、たとえば地名や人名など固有名詞の文字を見ただけでなんと発音するのかわかるはずだし、そこまでわかれば地図も読めるし電車の駅名や案内もわかる。
俺もタイに来てタイ語の単語は少し覚えたものの、いまだに駅名の表示はアルファベット表記でないとわからない。駅のようにアルファベット表記が並記されてるものはまだいいが、シャンプーや食品の成分表示などさっぱり読めたものではない(というかどれがシャンプーかわからない……)。
が、文字だけ覚えておけば発音できるし、発音できれば元は英語だったりもするので理解できたりすることもあるわけだ。口頭で聞こえた発音と文字が一致するだけでも強い。
これはつまり、まだ可能性としては小さいとは言え、ハングルを覚えた少数民族の人々が韓国に「出稼ぎ」に行きやすいということになる。教育システムが改善されれば優秀な人材も生まれて来るだろうし、そういった人材の留学や出稼ぎ先の第一候補として、文字のわかる韓国が選ばれやすくなるということになる。
こちらの記事によると、文字を持たない少数民族へのハングル普及活動はアジア全土にわたって継続的に行われてるらしい。このままハングルユーザーを増やして行き、韓国自身の経済状況を維持・発展できれば、将来優秀な人材を集めるのに恐らく役立つであろう。
韓国の強い愛国心というか自尊心を物笑いの種にする人もいるが、言葉の壁にたいした対策も打ててない我々日本人にとっては、笑ってもいられないんじゃないだろうか。
しかし、このプロジェクトは恐らくだが、少数民族の人たちが困ることになるんじゃないだろうか。
韓国語にはないのどの音や鼻音などを表記するため、ハングルの子音と母音を24個から80個に増やした「国際ハングル音声文字(IKPA)」も開発した。
ハングル普及:世界化には政府次元の支援を(上) | Chosun Online | 朝鮮日報
さてこれをコンピュータで表記するにはどうしたらいいのだろうか。
ハングルというのはいくつかの字母の組み合わせで出来ていて、そのすべての字母がUnicoe 2.0に収録され、11172個に及ぶハングルの全組合せがUnicodeでは使用可能となっている。
しかし子音母音あわせて80個もなかったはずだ。
こちらの記事を見ると、やはり字母を増やしてあるらしい。Unicodeにコードポイントは割り当てられてるのだろうか? フォントはちゃんとあるのだろうか?
そして大事なことだが、「韓国製以外」の携帯電話や文字表示のある家電は使えるのだろうか。
そこまで考えた上でハングル普及を目指してるとしたら、本当に日本はうかうかしてられないかもしれない。
昨年話題だった「日本語が亡びるとき」は日本に置いて来てしまったのだが、ちょっとそういう事も考えながら読み返したくなって来た。