なにやら近頃は評価経済が話題である。
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- 岡田斗司夫氏の議論がいろんな意味で面白い: やまもといちろうBLOG(ブログ)
- 衆愚経済社会という絶望~評価経済社会はもう既に始まってる~ - とある青二才の斜方前進
評価経済という言葉を初めて聞いたのは、elm200さんのブログであろうと思う。評価経済が何者かというのは彼の記事に詳しい。
簡単に言えばモノが溢れてあらゆるものがコモデティ化していく中、価値あるものは情報だけになっていく。しかしながら情報は「自由を求めている」ため、そこに直接お金が支払われることはどんどん無くなっていく。
結果、情報発信者の「評価」が重要になる。その評価を基準に、貨幣や物資が交換されるようになる。
実はこれはさほど目新しいことではない。今までだって評判のいいレストランは賑わっていたし、評価の高い職人には仕事が回って来た。「評価」は今までも重要だった。
しかし、今後は「評価」がもっとダイレクトに効くようになる。いまはその兆候があらわれてるにすぎない。昔、ブログはPV(ページビュー数)が命だった。PVが高ければ広告費が入って来て、実際にお金になった。しかしPVを伸ばすだけならいわゆる炎上マーケティングでもやればいい。注目を集めるだけではお金にならないことに、人々は気付きはじめた。
わかりやすい事例を出そう。たとえば投資でそれなりの利益があったり、著書があったりするような人物がいるとしよう。彼がブログに投資に関する本のレビューを載せたら、それほど爆発的なPVがなくても、その本を買う人が現れ、彼にはAmazonなどから紹介料として収入が入るだろう。1500円の本を紹介して1冊売れれば3.5%の52.5円が入る。月あたり101アイテム以上売っていれば4.5%になるので、1冊あたり67.5円になる。100冊で6750円だ。本代の一部くらいは賄えるようになる。
これがたとえば俺が同じ投資の本を紹介したところで1冊たりとも売れないだろう。これはPVの問題ではない。俺が投資に関する「評価」を得てないからである。
評価はくださいといってはいはいともらえるものではない。それなりの活動や人脈を通して構築していくものである。こういったことが間接的にお金になっていくことを現しているのが「評価経済」という理論なのである。
そして評価をもらうのに、最適な場所はインターネットだ。インターネットはブログやTwitter、Facebookなど、気軽に見てもらえるものが多い。直接コミュニケーションも取れる。評価を得やすい土壌がある。
@NHK_PR のTweetを見て、NHKへの好感度をあげている人たちも少なくないだろう。そしてそれは受信料徴収への抵抗感を減らしているはずだ。
今はまだ始まったばかりだ。だから以下のような反論は実に的外れだ。
――評価経済のモノサシは何か。
作っている最中。
例えば現状であるのは、ツイッターのフォロワー数とか。あとフェイスブック、ツイッターなどの数値などの数値から算出した「クラウトスコア」とか。
これは株価みたいなもの。
1億円を持っているより、ツイッターで100万フォロワーがいるほうが、いろいろできる。これがほしいというだけで、手に入るし、提供する、という人も表れる。一言一句そのままにコピーさせてもらった。だが、これを読めば余りにも未完成。
衆愚経済社会という絶望〜評価経済社会はもう既に始まってる〜 - とある青二才の斜方前進
あたりまえである。なんらかの形で評価のモノサシは生まれていくだろうが、一つに固定されることもないのではないか。なぜなら人の評価とは多様であり、ひとつの評価軸で計れるようなものではないからだ。
だからいくつかのポイントをしめして、そういったものが総合スコアとして使われるのではないかと言っているわけだろう。「作っている最中」というよりは「作られている最中」といったほうがいいのかもしれない。
過去の行動にもマッチするはずもない。だって社会状況が変わりますよという話なのに過去の言動と矛盾してるなんて反論にもなりゃしない。何を言ってるんだという感。
基本的には与太話のレベルであり、煽りにある「さらばGDP」どころか評価や評論が蓄積されることで貨幣の代替ではなく狭い世界での自己満足を促進するだけというありふれた結論に達する陳腐な話に過ぎない。正直、議論としては素人を騙す程度の価値しかない。
岡田斗司夫氏の議論がいろんな意味で面白い: やまもといちろうBLOG(ブログ)
こういった中身を論じないものもそれこそ素人を騙す程度の価値しか無かろう。
評価経済はインターネットの普及という段階を経て、「評価」というものの重要度が向上していってますね、という話でしかない。それがどこまであがるかなんてただの未来予測でしかないのである。
ただ多くの人が思う以上に、「評価」が重要になる未来は来るかもしれない。
実際、id:elm200 さんの2012年3月財務報告を見ると、評価経済の結果としか言いようがないものばかりでそれなりの収入を得てしまっている。
評価経済がどこまで成長するかは正直誰にもわからないだろう。ただ岡田斗司夫のいう地域通貨とあわせれば、既存の貨幣経済の有効なライバル足り得る可能性は、秘めているのではないだろうか。