話題に乗り遅れた感が強いが、ちょっと風邪引いてて書きそびれてたこんにゃくゼリーネタも書いておこうと思う。
こんにゃくゼリー規制論にネットはなぜ反発するか インターネット-最新ニュース:IT-PLUS
こちらの記事は今回の騒動のまとめ的な記事なので、必要な方は参照されたし。
製造停止とあいなったマンナンライフの蒟蒻畑に代表されるこんにゃく入りゼリーであるが、独特の食感と健康指向からファンの多い製品である。
事故については残念という他ないのだが、実際事故が起きたのは今回が初めてというわけじゃない。90年代に蒟蒻畑での窒息事故が話題になって、マンナンライフが形状や大きさを工夫してきたことは、ある程度の年齢の人間なら覚えていると思う。
またひとり こんにゃく入りゼリーで死亡−子どもや高齢者に絶対に与えない!−(報道発表資料)_国民生活センター
この国民生活センターの資料をみても、事故の半分ほどは95年と96年に集中している。この後危険性が認知され、事故率はがくんと減っているわけだ。工夫してないマンナンライフ以外のこんにゃくゼリーは危ないよ、といった話もちらほら出てた記憶がある。
「こんにゃく入りゼリー」よりものどに詰まって死亡した件数が多い危険な食べ物ベスト10 - GIGAZINE
これはまあネタ記事的なところもあるのだが、厚生労働省:食品による窒息事故に関する研究結果等についてのPDF資料から2006年の消防と救命救急センターでの事故件数調査(P10あたりのやつ)の合計を出してくれている。
カップ入りゼリーの事故件数は11件となっているが、内訳は消防で8例、救命センターで3例である。しかしよく見ると消防は「東京消防庁及び各政令市消防局18ヶ所」であり、センターは「全国47都道府県において平成19年11月現在登録されている204ヶ所を対象」、なおかつ消防からの調査表回収は13ヶ所のみ、救命救急センターからは75ヶ所のみであり、数としてはもっとずっと多いはず。事故死亡率はこの記事から見られるよりもずっと少ないということになる。
マンナンライフ「蒟蒻畑」製造中止に「反対」ネット署名1万人 - ITmedia News
新聞サイトのように記事が消えないのでお気に入りのITmediaでも取り上げている。
ここでITmediaは重要な情報を提供してくれた。
マンナンライフの前身「鶴田食品工業」創業の地で、現在まで本社を置く富岡市の関係者も、「蒟蒻畑」復活を祈るような気持ちで見守っている。
昨年度の「蒟蒻畑」シリーズの売り上げは約70億円で、同社全体の約3分の2を占める。人気商品の消滅は会社の存亡に直結するため、年間法人市民税収7億円の1割近くを同社に依存するとみられる市にとっても、死活問題なのだ。
マンナンライフ「蒟蒻畑」製造中止に「反対」ネット署名1万人 - ITmedia News
産業をひとつ潰すというのは、それだけ大きなことなのだということを再確認させられた。
この記事ではこんにゃくゼリー規制に反対する理由もないだろうと指摘している。本当にそうだろうか。
もちろん上記のような経済的理由もある。だがそれ以上に、産業が御上の顔色伺いをして商売をしなければならないという事態があり得ないのだ。
Googleストリートビューなんかもそうだが、法律の有無はこのさい関係無い。新しいサービス、商品が生まれたら、法律のほうも見直すのは当然なのだ。いまだ著作権法の縛りで厳密にはウェブ検索エンジンを国内に置けない日本を見れば、それはわかるだろう。
他の業者のこんにゃく入りゼリーは食べたことが無いが、少なくともマンナンライフは90年代の事故を受けて真摯に対応してきたと俺には見える。形状や大きさの変化、警告文の追加などなど、がんばってきたではないか。
Google street viewも批判は多いが、削除申請は受けつけている。直接的に日本の法律に触れるGoogleにとって始めてのサービスになるだろうし、撮影車両の動きに道交法違反が見られるなど、現場の混乱もひどいようだが、最終的には市民とGoogleとの間でせめぎあって落しどころを見つければいい話だ。
少なくとも「御上」がしゃしゃり出て来て一方的に禁止だ規制だと騒ぐべき話ではない。
痛いニュース(ノ∀`):「ゼリーのみ規制…モチはいいのか?」→野田聖子氏「モチは喉に詰まるものというのが常識」…消費者庁構想に暗い影
新聞はどうせそのうち消えてしまうだろうからこちらから孫引きしておくが、与党議員のヒステリックなセリフがひどすぎる。
「子供が見て、食べたら死ぬと分かるようにしないと。それぐらいはできるでしょ!」
痛いニュース(ノ∀`):「ゼリーのみ規制…モチはいいのか?」→野田聖子氏「モチは喉に詰まるものというのが常識」…消費者庁構想に暗い影
こんにゃく入りゼリーの規制を議論した10日の自民党消費者問題調査会(会長・岸田文雄前消費者行政担当相)は、河野太郎氏ら出席議員らが怒声を発するなど、さながらゼリー糾弾の場となった。
(中略)
実際、10日の調査会でも谷公一衆院議員が「モチは昔から死亡事故が多い」と指摘した。一方、野田聖子消費者行政担当相は10日の会見で「モチはのどに詰まるものだという常識を多くの人が共有している」と強調したが、「ゼリーだけを規制し、モチやアメを規制しない合理的な根拠は見つかりにくい」(厚労省)というのが実態だ。
いったい何を考えてるのやら。腹が立ってしかたがない。消費者を赤ん坊のように守るのが消費者庁の仕事だというなら、そんなものはいらない。邪魔なだけだ。
昔からどうも日本は「御上が国民を守るもの」という意識が強すぎる気がしてならない。市民がいらないといってるダムだか橋だかを「作ってさしあげないと」といって強行したのはどこの国会議員だったか。
愚鈍な国民をエリートたる政治家・官僚が保護してさしあげる国ニッポンという図が見え隠れしてならない。
しかしながらそういう国作りをしている国会議員どもを選出しているのは我々国民なのである。一番「御上」思想に縛られているのは日本国民なのだ。
今はタレント議員という形だが、宮崎・大阪などで知名度の高い人物が既存権力に立ち向かう知事という形でずいぶんと「民主的」になったようにも見えるが、まだ「御上にいい人が立ってくれた」くらいにしか思ってない人も多いだろう。
バカなことをしてる国会議員というのは非常に多い。小学生かお前らと思うこともある。だがしかし、そういう政治家を見たらそいつを選んじまった自分たちの民度の低さも、少しは考えたい。政治家は国民の代表なのだから。
マンナンライフのように地元名産品を利用して大ヒット商品を作り、問題が起きたら真摯に対応してきたような企業が、「御上」の気分一つで吹き飛ばされるようなことがあってはならない。それを許したら、この国からイノベーションはまったく生まれなくなるだろう。
先に紹介した厚生労働省:食品による窒息事故に関する研究結果等についてには、のどに詰まりやすいゼリーの堅さや温度についての調査もある。こういった調査を元に堅さの規制や食べるときの温度についての注意事項記載義務などをするというなら話もわかるのに。