9年くらい前に1000年に一度の大震災を目の当たりにしたはずなのだが、今度は100年に1度のパンデミックなんてものを目の当たりにするとは、なかなかすごい時代に生まれてしまったものだと思う。こんなときだから人々がいろいろと語りたくなる気持ちはわかるのだけれども、素っ頓狂な「アフターコロナ論」を言い出す人々にはずいぶんともやもやしたものを感じてしまう。
もやもやするのはそんな論者たちばかりでもない。専門家会議の出した「新しい生活様式」というものにもたいへんもやもやするものがある。距離を取れ、食べながらしゃべるな、そんなこと専門家が指示するようなことだろうか。
そもそも SARS-CoV-2 、新型コロナウイルスはそんなに特別なものだろうか。
確かに誰もまだ免疫を持ってない新しいウイルスだし、変異したばかりで毒性も高い。そりゃあ感染も広まりやすいだろう。だがよくよく考えて欲しい。よくよく思い出して欲しい。
これは風邪の一種だということを。
そしてもともと風邪はこじらせたら死ぬ病気だということを。
風邪は万病の元ともいう。風邪の9割はウイルス感染症だ。治療法はない。寝てればだいたいは治る。だがこじらせれば重症化することも死ぬこともある。だからこそ風邪予防をずっとずっと呼びかけられてきたのではないか。
そして新型コロナウイルスへの個人でできる対策はぜんぶ今までずっと言われてきたただの「風邪予防」だ。
手洗い、うがい、水分補給、栄養、睡眠、リラックス、保温、保湿の8つが対策としてあげられている。
そして重要なのは「風邪を引いてしまったら」の項目だ
もしも「かぜ」や「インフルエンザ」にかかってしまったら、他の人にうつさないエチケットを心がけてください。
- せきやくしゃみはハンカチや手で口と鼻をしっかり覆って飛沫をブロック
- マスクで飛沫の拡散を防止しましょう(特に「インフルエンザ」)
- 手をよく洗い・乾燥させて、接触感染を防ぎましょう(菌やウイルスは乾燥に弱い)
- 「かぜ」をひいた人が使った食器類はきちんと洗いましょう(接触感染を防ぐ)
無理をして出社や登校せずに、医師の診断と治療を受け、安静にして早く治しましょう
結局これも SARS-CoV-2 対策となにも変わらないではないか。
ようは人類は風邪をナメてたのだ。SARS-CoV-2 ウイルスによる感染症 COVID-19 が流行し始めてから、明らかにインフルエンザ感染は減っているという。いままで手洗い1つ十分になされていなかったということだ。
風邪をひいていても解熱剤などで症状を抑えて出勤・登校する人々を、我々は知っているはずだ。トイレの後、帰宅時の手洗いをしない子供も、帰宅後に部屋着に着替えない人たちもだ。どれもこれも外でついたウイルスを家の中に蔓延させてしまう行為だというのに。
満員電車だってそうだ。喋らないからマシかもしれないが、あんな密着した状態で感染症が広まらないわけがない。そうでなくても激しいストレスにより免疫力は低下する。あんなものを許容してた事自体がおかしいのである。
三密? 行動様式? それ以前の問題じゃないですか?
少なくとも手洗いを真面目にやり、満員電車になど乗らず、発熱があったらきちんと休む。ただそれだけのことができていれば、パンデミックになんかならなかったんじゃないんですか?
食事のマナーだってそうだ。食べる前に手洗いをする、飲み込んでからしゃべる。噛んでる間は口を開かない。それができるだけでずいぶん違ったのではないのか。
ウイルスだって少量入り込んだくらいで感染症を引き起こしたりはしない。免疫機構がすぐに退治してしまうからだ。免疫機構の能力を超えたウイルス量を曝露するから感染する。
いままで言われてきた風邪対策をまずは徹底して普及させることが先決なのではないのか。
「変わってしまう」ではなく「変えていく」ために
人類は愚かだ。世界は決定的に変わってしまったみたいなアフターコロナ論に俺は与しない。人々は恐怖を忘れ、また同じような生活に戻ってしまうだろう。
そうはさせない。させてはいけないのである。
特に日本においては、ろくに手がついてなかった満員電車を解消する絶好のチャンスである。
リモートワークだってやればできることが証明された。あとは自宅で作業するのは厳しいことも多いから、各地の住宅街の駅近くにでもどんどんコワーキングスペースを作っていくべきだ。企業共同で作ってもいいし、国は補助金を出すべきだ。出社するのはミーティングの時間でいい。
でかけなければできない作業をどんどんオンライン化していくべきだ。まずは行政手続き、役所の窓口業務をぜんぶオンライン化すべきだ。物理的な窓口はオンライン手続きのサポート会場としての役割以外を排除すべきだ。電子政府化を真面目にやらなければならない。
東京一極集中を解消すべきだ。過密都市東京は、ちょっと高級な内装のレストランであっても他のテーブルと距離が近すぎると思っていた。妙に狭っ苦しく感じるのである。仕切りや膜を張るような対策は一時的なものだろう。オフィスにしても極端に狭いところに詰め込まれるといった話も聞く。オフィスにしてもレストランにしても、換気基準と面積あたりの席数の基準を改め規制をすべきだ。
発熱した労働者も給料が減るのでは休めない。出社してきてウイルスをばらまかれたら他の労働者たちにも感染が広がる。だからいわゆる sick leave 、傷病用の有給休暇を別途設定することを義務付けるべきだ。
これらは COVID-19 対策などではない。一般的な感染症を、風邪を予防するために必要なことだ。今までもやっておかなければいけなかったはずのことなのである。
風邪が予防できずに新型コロナウイルスが予防できるわけないだろ!?
もし本当に「世界は決定的に変わってしまった」というのなら、今までのビジネスは成立しなくなる。廃業者も主に飲食店などを中心に大量に出てくるだろう。ならば起業支援を今まで以上にどんどんやらなければ雇用は減り続ける一方だ。新しいビジネスのチャンスでもあると考えるしかない。
まじめに風邪予防をやれ、起業支援をしろ。
新しい行動様式だのアフターコロナうんたらだのは、そのあとの話であると俺は考えるのである。