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狐の王国

人は誰でも心に王国を持っている。

ノマドの実態とコワーキングスペースのススメ

ノマド化の兆候は「スタバでMBA」にあった!という記事。確かにそのとおりなんだけどスタバはねーわと思いつつ、理由は後述。

いまこの記事を、俺はバンコクコワーキングスペースで書いている。基本的に俺はプログラマで、Emacs というエディタとまともなシェルが動く UNIX コンピュータがあれば基本的な作業はできる*1。もちろん人に会う都合やら機材の都合やらで場所に束縛されることがないわけではない。けど大半の作業はどこでしていても大した問題ではない。

リアルな話をすると、日本にいた頃でも一度もお客さんと顔を合わせずに終わった案件というのもある。共通の知人を通して知り合い、お互い失敗しても痛くない軽めの案件で信頼を確立し、IRCSkypeなどを通してコミュニケーションを取り、結局1年くらいそのプロダクトに関わっていた。一応電話番号などは教えあっていて、連絡は取れる状態は維持していた。

こういうのはまだ特殊だとは思うが、できるかできないかといったらできてしまうわけである。

さてなぜちゃんとオフィスを構えず自宅やカフェやコワーキングスペースで仕事をするのか。ぶっちゃけて言えばお金がないからである。

あのね、オフィス代ってけっこうバカにならないんですよ。固定費だし。毎月のしかかってくるし。フリーランスみたいな業態だと自分一人だったりするじゃん? 誰か雇い始めればその人の作業場を作らないといけないけど、まあ自分ひとりのためにそこまで金かけるのも……ってなるのも別にふつーじゃね? 一人二人雇うくらいならコワーキングスペースの月会費払ったほうが……とかさ。

あと移動しながら仕事をする人というのもいる。そういう人達は正直この時代を恨んでるかもしれない。だっていままでなら移動中に仕事とか出来なかったのに、携帯電話もインターネットもあって連絡ついちゃうじゃん? パソコン持ってるし仕事できちゃうじゃん? そうすると仕事しないといけないじゃん?

「え、ちょ、待って、今やらないとまずいのそれ?」
「うん、15分以内にできないかな?」
「えー? いやいま空港だから……あーWiFiあるし送れるか……」
「搭乗前に仕上がるよね?」
「あ、うん、すぐできる……と思う……」
「よろしく!」

ということで空港のベンチに座って MacBook Air を広げて死んだ顔でドヤリングする人が生まれるわけである。

こんなことはもう10年以上前から言われてることで、だからこそ休暇には携帯電話もパソコンも持っていくべきではないとか議論されていたわけである。

ノマドワーキングと呼ばれるものは、実態としては「移動中はしなくてすんだ仕事をするハメになった」というところから始まる大変貧乏臭いシロモノなのである。それをもう少し肯定的に捉えてフリーアドレスのオフィスであるとか、安いオフィスの椅子じゃなくてカフェのソファに座って、とかになったのが最近の話だ。それだって人数分の机と椅子をいいもので揃えてしまえばいいだけのことだが、そのお金がないからフリーアドレスで社員数より少ない席数で済ませるであるとかカフェのソファでお尻休ませようとかになるわけである。ノマドは貧乏なのだ。

ノマドってる人を知らない人はどうもおしゃれだとかかっこいいとか思ってるみたいだけども、実態は自虐みたいなもんである。旅人が清潔感あふれるオシャレな人だったことなんてあるわけがない。だいたいみんな薄汚れてるし旅に疲れてたりする。荷物も少なくないといけないから服のバリエーションだって少ないし。服なくてそこらで買った適当なの着てたりするし*2。だいたい遊牧民とかジプシーとか歴史的には被差別者でしょうに。

ついでにいうと電源がなかったりすると死ねるので、日本にいるときはマクドナルドの電源席があるところか、東京都内だとルノアールというカフェがあちこちにあるのでそこを利用する。どちらも mobilepoint や Livedoor wirelesss といった WiFi サービスがあるので利用しやすい。日本のスターバックスは最近まで WiFi がなかったし、電源が確保できるかわからないので本当にノマドワーキングしてる人はあんまり利用しないんじゃないかな。ソファがいいので別に回線を持ち歩いてる人なら利用するかもしれないけど、やはり電源は割と大事。短時間ちょっとラップトップ広げるだけならそれこそベローチェでもドトールでもいいじゃん。「ノマドがスタバでドヤリング」といった話は実態からかけ離れた妄想だと思う*3

さて次は誰かに仕事を頼むことを考えてみよう。とりあえずこんな案件あるんだけど興味ある?と送るのは最近だと Facebook Messenger とか LINE である。ちょっと前は MSN Messenger だった。「おっけー、やるやる」と返事が来たら詳細や要求仕様をメールで送ったりする。納品もメールに添付とか Dropbox でいつの間にか到着してたり。あー法律上メディアはないといけないんだよねーめんどくさいねー郵送するわー、みたいな。報酬は手渡し? まあ普通は振込だよね。

というわけで会う必要性がどこにもない。いやもちろん文書で説明するのが難しい部分を直接話したいとかあるけど、そんなにない。

ついでに英語で説明できちゃうならタイ人だろうがスウェーデン人だろうがいくらでも頼めちゃう。海外送金の手数料が高いから、このへんが解決されたらもっと小規模なものから頼みやすくなるだろうね。PayPal とかが解決しちゃうかな?

というわけで近所に住んでる人に頼む理由がなくなっているのである。

それなりの種類の仕事が現在でも、どこの国にも発注できます。
その仕事の種類は、テクノロジーの進歩により、今後どんどん増加していきます。

本書にはこういう厳しい現実と、その現実に対応するために様々な行動をしている人たちの姿を描いています。また、本書を読めば、どんな仕事に就いていれば、定住を勝ち取る事ができるかも分かると思います。

ノマド化の兆候は「スタバでMBA」にあった! 書評「ノマド化する時代」 | もりぞお海外就職研究所

そう、「定住」は勝ち取るものなのである。被差別者であるところのノマドから脱却し、定住していられる場所を作るための戦いなのである。フリーランスなんてだいたい貧乏なもんで、年間1000万円売り上げてようやく福利厚生のあるサラリーマンの年収400万と同程度と言われてる。会社勤めの人だって「自分の給料の3倍売上げろ」と言われたりするだろう。一人で1000万円売り上げるのはやってみるとわかるが本当に難しい。

そのために会社という群れを作り、より安定した売上を立てていく必要があるわけだ。定住者のほうが断然有利なのである。

もっとも、在宅勤務やサテライトオフィスやその代わりとしてのコワーキングスペースを活用した、通勤コストの圧縮はもっと注目されるべきだろうと思う。特に東京都内のラッシュアワーは本当にひどいし、地方の自動車通勤による渋滞もいいものではないしね。こうした通勤コストを社会的に圧縮するためにも、いろんな取り組みが必要になるだろう。ノマドワーキングというスタイルそのものは、そのうちの一つとしてもっと注目されていいと思う。

特にコワーキングスペースというのはとてもいいものなので、ぜひいろんな形であちこちにできてもらいたい。サテライトオフィスだと思えば複数の企業が共同で運営コストをまかなう価値はあるのではないだろうか。オフィス代が安くつくので起業にも向いてるしね。スタートアップ促進のためにもコワーキングスペースはもっとたくさんあっていいだろう。

*1:MacBook はその条件を買った状態そのままで満たしてくれるので愛用しているだけなのだが、ええかっこしいのように語る人も多いね。あーめんどくさい、なんでそんなに他人のことが気になるんだろう

*2:あんまりにもアレなので最近は気をつけるようにしてます……

*3:バンコクのスタバは電源貸してくれるしWiFiもあるし利用しやすいけれどね。でもWiFiは有料で事前登録が必要

Sugano `Koshian' Yoshihisa(E) <koshian@foxking.org>