香川県はゲームよりも「うどん依存」を規制せよ という記事。昨今話題の香川県議らによる超党派のゲームやインターネット規制についての痛烈な皮肉で、まったくそのとおりであるとしか言いようがない記事だった。
すっかり知のインフラとなったインターネットを子供たちから取り上げることが、情報の少ない地方でどれほどのハンディキャップになるか、ろくに考えてないのは褒められたものではない。
それにゲームがどれほどの意味を持つかもわからないようだ。
子供たちに人気のある Minecraft というゲームは、ブロックを組み上げて回路を作って自動化するようなこともできる。また mod_python を入れることでブロックの組み上げ操作をプログラミングで実現することもできる。
はっきり言って教師がプログラミングなんかを教えるより、子供たちに自由に Minecraft で遊ばせておいたほうがよぽどプログラミングが学べるはずだ。
また Raspberry Pi 用の Rasbian という OS には最初から mod_python の入った無料版の Minecraft Pi が付いている。テレビにつなげてすぐさま Minecraft が遊べてプログラミングが学べる。
子供たちに一人1台のコンピュータを与えるというのならこれと安いモニタで十分じゃなかろうか。ゲームを遊んだり改造したりはプログラミングの入り口として最良であることは、マイコン世代のプログラマたちの経験からも確かであろう。
e-sports が教えてくれること
さて、ここ2〜3年ほどは Rocket League という e-sports をやっている。まだ800時間ほどしかやってないのでようやく中級者と言えるレベルになってきたかなあという感じなのだが、ここまででも学びの多いスポーツだなという思いがある。
RLCS League Play Promotion Tournament - Cloud9 vs G2 Esports
上記の動画を見ればわかるとおり、3 on 3 のラジコンカーでやるサッカーである。チームスポーツというのはよくよく考えてみるとちゃんとやるのは初めてなのだが、実に学びが多い。
仲間の士気をさげないこと
もちろん技術の差が大きければひとりでもなんとかなるのだが、似たような技術レベルの人たちがマッチングされるためにそんな大きな差がうまれることはほぼありえない。
ボールをひとりで敵陣まで運んだところで、センタリングまではできてもゴールまで入れられることは稀だ。味方が適切なポジションにいてくれないとどうしようもない。
またボールは車より速く飛ぶこともあるので、がんばって自陣まで戻ったところで敵のシュートをブロックする位置までたどり着けないことも多い。ディフェンスをしっかりやってくれる仲間がやはり必要だ。
こういうゲームなので、味方の士気はけっこう重要だ。あんまり上手じゃないやつに限ってチャットで味方をなじったりしている。そうすると士気がさがり、勝てるゲームも勝てなくなる。
全員が最後までがんばろうという意志があれば、逆転のチャンスだってある。
最後まで決して諦めないこと
ボールがゴールに入るかどうかに時間は関係ない。ほんの1〜2秒で入ってしまうことだってある。5分間のゲームだが、最後の40秒ちょいくらいで3点差をひっくり返したこともある。2点差をつけられたらそうそうに諦めるような人も多いのだが、もったいないことだ。最後まで自分たちの勝利を信じて戦い抜くことで、本当に逆転できることは少なからずあるのだ。
強い人と戦うことで自分も強くなる
最後まで諦めないことの重要性はもう一つある。決してかなわないような強い相手とのゲームも、必死で対応し続けていると自分たちのレベルが上っていくのだ。その試合は負けてしまっても、次の試合では相手の動きがゆっくりに見えて余裕で勝ててしまうこともけっこうある。そうやって少しずつ、自分たちのレベルも上がっていく。
自分の限界を自分で決めないこと
プロの動画を見てると、とてもじゃないができないような動きをしていることが多い。そんなプレイはただやってるだけでは身につかない。意識して上手な人たちのプレイを真似することで、自分自身の限界が上がっていく。
「ここまでしかできない」という思いが、自分自身の可能性を狭めてしまってるのだ。それに気づいたのは、やはりプロの動画を見たあとのプレイが変わることを何度も経験したからだ。
この距離でジャンプしてもボールには届かないと思っていたら、プロは余裕で届いてたりする。届くものなんだという思いがあれば、そこに果敢にチャレンジしていける。そうすることでやはり技術が上がっていくのだ。
仲間を信頼することの意味
仲間を信頼するということばの意味は、自分が手抜きしてもいいということではない。「あいつならディフェンスを任せておいても大丈夫だ」という信頼で自分は遠くのブーストを取りに行くなんてことはしてはいけない(しないといけないときもあるけど)。誰にだって必ずミスはある。それに備えてフォローできる位置まで急いで駆けつけるのだ。
むしろそういう「あいつならちゃんとフォローできる位置まで駆けつけてきてくれている」という信頼こそがミスを減らしてくれる。敵のチャンスを潰し、自分たちのチャンスを作る要素になる。これが「仲間を信頼する」ということなのだ。
頑張れば必ずうまくなる
一緒にやってる仲間は、俺が始めるまで空中でボールを捉えるなんてことは一生できないと思っていたという。俺が空中の練習をやり始めたことで自分にもできるように思えてきたらしい。練習はとても大事。いろんな練習をすることでプレイの幅が広がり、対応できるボールも増えていく。
それは決して無理なことではなく、チャレンジし続けていれば必ずできるようになるのだ。
体力はとても大事
体を動かさない e-sports だが、それでも体力は大事だ。5分間の試合とは言え、5試合も6試合もやってると集中力がだんだん落ちてくる。感覚もズレてくる。当てられたはずのボールに当てられなくなる。
こういう集中力を支えるのは体力だ。Rocket League の試合を戦い抜く集中力をつけるために、走り込みや筋トレも始めた。どこまで続けられるかわからないが、少しずつでも体力を付ける努力は続けていきたい。最後まで全力で戦える力をつけるために。

- 作者:
- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2018/07/26
- メディア: Video Game

Rocket League (Official Game Soundtrack)
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: MP3 ダウンロード
だいじなのは学びをサポートすること
子供の成長に大切なのは、子供の夢中になってるものを取り上げることではない。そこから子供たちが何かを学べるように、サポートしていくことが大事だ。
ゲームをやらせないことなんかより、無能な味方を非難して士気を下げるような子供たちをちゃんと叱ることのほうがずっと大事なのだ。これができてる教員はそうそう多くない。
子供たちに必要なのは、適切な成功体験と適切な失敗体験だ。e-sports は、ゲームはそれを教えてくれる。失敗しても信頼する仲間がフォローしてくれることも、仲間をサポートする喜びも、努力がきちんと報われることも、みんなみんなゲームが教えてくれる。
そういう学びをサポートできる大人でありたいものである。