映画に登場する女性の「扱われ方」を重要視するその理由という記事に、「ベクデルテスト」という物語が性差別的かどうかをチェックするテストが掲載されている。
- ふたり以上の名前のついた女性が登場するか
- 女性同士が直接会話をするか
- その会話の内容が男性以外のことであるか
バカバカしいことに、日本のアニメはほとんどこれをクリアしている。萌えアニメはほぼすべてクリアしてると言っていいだろう、そもそも男性が出てこないんだから。
よくよく考えてみると、日曜朝にやってる戦隊物もだいぶ前から女性2人男性3人構成の戦隊が増えてたように思う。あんなコテコテの男児向けの作品ですら、ベクデルテストはクリアしているシリーズが増えてるわけだ。
何度か書いてるが、例えば70年代の作品である「機動戦士ガンダム」にしても女性が戦争の前線に出て戦って死ぬような作品であるし、もちろんこのベクデルテストもクリアしている。
大昔のヒーローものだと紅一点という描かれ方は確かにあったけれども、今はそういう描かれ方もすっかり少なくなった。昔から日本のアニメは女性が活躍する作品が多い。
思うに、これは日本で作られてきた物語がそれなりに高度だからではないだろうか。勧善懲悪のロボットものにはガンダムが終止符を打ったし、キューティーハニーの時代から女性の戦う物語は数多く作られてきた。リメイクが近々公開されるセーラームーンも女性が戦う作品の代表格だろう。
多くの物語が作られたがゆえに、そして見る側の目が肥えてるがゆえに、男ばかりでヒロインが補佐役みたいなパターンは飽きられてるんじゃないか。
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むしろアメリカにおいてベクデルテストが「厳しい基準」と認識される程度には、アメリカで作られる物語が「男ばかりでヒロインが補佐役」に偏ってきたということなのだろう。そういえばあれほど日本の影響が濃い「パシフィック・リム」にしても、名前のある女性キャラクターというとマコだけだった気がする。
物語多様性という側面において、日本はアメリカのはるか先を行っているわけだ。
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実際日本のアニメでは、女性が重役についてる作品はとても多い。今世紀のガンダム・シリーズでは女性の艦長が多かったし、去年の「革命機ヴァルヴレイヴ」は女性が大統領になるし戦闘メカに乗り込む5人のうち2人は女性だ。80年代の「機動警察パトレイバー」でも主役、指導役、隊長などに女性が配置されていた。かの有名な「新世紀エヴァンゲリオン」でも主役級パイロット3人のうち2人が女性、研究開発担当者も指揮官も女性だった。アニメにおける女性の社会進出は、現実よりもはるかに進んでいる*1。
こうした物語で育った日本の子供たちが、家庭や地域に関わらない男性や、家事と子育て以外しない女性をどう見るのか、少し想像を巡らせてみるとおもしろいかもしれない。
*1:とはいえ出産・育児休暇・復帰まで描かれるような作品はなかなか無いのでこういうのも普通の情景として描いてくれるとうれしいなと思う。男性の育児休暇もね