先日、1週間ほどラオスの首都ビエンチャンに滞在していた。おいしいものがいっぱいあるよ、と同行者が言ってたので楽しみにしてたのだが、本当にいろいろおいしかった。
ラオスという国は元フランス領であり、左ハンドルの国だ。そういう理由もあるのか、どうやら隣国タイに工場のあるらしいヒュンダイやKIAといった韓国製の自動車がごまんと走っていた。数少ない公共交通機関であるバスも、ラッピング広告がハングルで書かれたりしていた。ベトナムやカンボジアもそうだったが、韓国の進出が激しいのだろうな。
さすがに元フランス領だけあって、パンもおいしい。屋台で買ったフランスパンのパテのサンドイッチがハーフで9000キップだった。およそ100円程度。
もちろんフランス料理も安くておいしい。
上の写真は La Vandome というフレンチレストランのもの。こんな大きなパテは見たことない。
有名な噴水公園。いまの季節は雨が降らないせいか、この周囲がビアガーデンになっており、ラオスの名物でもあるビアラオが楽しめる。周辺にはおいしいレストランも多く、L'Opera という有名なイタリアンレストランもここにある。
マンゴーの乗ったフレンチトースト。滞在中お気に入りだった Joma Cafe の一品。
こんな汚い屋台にも、山のようなフランスパンとそれで作られたサンドイッチがある。植民地化は文化も根付かせるのだな。
たいへんおいしかったシュークリーム。
ベトナム人も多いのか、ベトナムの代表的料理フォーが食べられるiPho……。どう見てもApple信者です、本当にありがとうございました。
日本食レストランも多い。こちらは Cafe Yu Lala というお店のメニュー。
空港内になぜかあった日本食レストラン。この店のせいでラオスの国際空港はなぜか出汁の香りがただよう。
ラオスと言えばビアラオ。軽くておいしい庶民の娯楽。
ビエンチャンの国際空港にある日本の支援で作られたことが示された記念碑。日本は、確かに金と技術でアジアを助けていた。
ラオスは貧しい国だ。海もない、資源もない。コンビニやスーパーはあるけど、売ってるものは輸入品ばかり。国内産業はいったい何があるんだろうかと思うばかり。ラオスに来ると、タイがとても強い国でタイバーツはとても安定した通貨に思えて来る。
ビエンチャンの川沿いあたりに滞在してたのだが、ここは外国人だらけだ。きっと国内相場よりはずいぶん高めの価格設定だろう。そこらのカフェで食べ物と飲み物を頼んだら、だいたい5万キップくらいになる。日本円でいうと500円ほどだ。Wikipediaを見ると、「1日2ドル未満で暮らす貧困層は国民の60%を超える412万人と推定」などと書かれてる。こんなところに食べにこれないだろう。
だが居心地がいい。ラオス人の店員たちはとても親切でにこやか。西洋人もたくさんいた。みんなこの居心地の良さに惹かれてきたのだろう。どうにか住みつづけたいとでも思ったのか、自転車でワッフルを売り歩く西洋人もいた。なぜか3度も遭遇し、「なんでこんなことしてんの?」と聞いたら「ビジネスだよ」とにこやかに答えていた。
タイもそうだが、あまりの環境のよさに住みたいと思わされてしまう外国人がごまんといる国というのはある。冬もなく、雨はふってもすぐやむ。食事はおいしくて安い。人はにこやかで親切。ずっとここにいたいと思ってしまう。
だが実際に働いてみると、たいていはそのにこやかで親切の裏側にある怠惰さやずるさに辟易としてしまうだろう。
生活費が安いといったって、それは円やドルが強いだけのこと。フラット化する世界は、おそらくそういう相場もフラット化していくのだろう。タイはどんどん物価があがってるし、円はどんどん弱くなる。
ラオスからバンコクに戻ってきて、フレンチレストランで友人とランチを取っていた。300〜400バーツのランチセットを頼んだ。日本円でいえば1000円くらい。絶品のチキンコンフィだった。いや安いね、日本でこれ食べたらいくらになるだろね。2000円はくだらないね。いやーとてもじゃないけど行けないね。
でもそんなお店にも、タイ人のビジネスマンと思しき人たちが20人ほどの集団で訪れていた。別に特別な集まりというわけではなさそうで、ただ日常のランチなのだろう。職場の人たちと連れだってきただけのように見えた。今日はちょっと贅沢しようか、くらいの感じなのかもしれない。日本人にとっての1000円は、彼らに取っては4000円くらいに感じるはずだ。
こんな店に普通にこれるくらい、タイ人の給与相場はあがっているのだろう。最低賃金も底上げされている。80年代バブル経済のころの日本は、こんな雰囲気だったのかな。
いつもアウディやBMWを乗り回してるタイ人の友達が、今度はスカイラインR34を買うと言っていた。丸味をおびたデザインになる前のスカイラインだ。
タイ人が憧れた日本は、10年前までなのだなと思った。団塊世代の上がいたころまでの日本は、まだ強かったのかもしれない。