狐の王国

人は誰でも心に王国を持っている。

「ニートゲー」が幸福増大を実現する

友達とゲームやりたいねえなんて話をしてて、昔やってたようなちょっとマニアックなゲームの続編とかを調べてみたのだが、あんまりにも時間を突っこめることが見えすぎて絶望しまくりんぐ。

そうなんだよなあ。本当にハマれるゲームってのはハマれすぎて人ひとりの人生軽く潰せちゃうのよ。朝から晩までゲームし続けてもまだ時間が足りない。一週間や二週間の休みじゃぜんぜん足りない。やりこみ続けて数年とか軽く過ごせちゃう。

そんなゲームが何本もあるのよ、すでに。

しかもパソコンとネットがあればできちゃうし、課金ったってそうたいした金額でもない。俺きっとベーシックインカムとか実現されたら、延々ゲームして人生過ごすんだろうなあとか思えちゃう。ニート化ゲームすぎるんで、こういういくらでも時間が突っこめちゃうゲームを「ニートゲー」と呼ぶことにした。

しかしまてよ、と思うわけだ。RMTという言葉が一時期流行ったことがあった。いわゆるリアルマネートレード、ゲーム内の通過やアイテムを、ユーザー同士が現実のお金で取引するというものだ。

これは業者が賃金の安い国の人材を使ってひたすら単純に稼ぐだけのプレイをさせたり、botと呼ばれる自動でプレイし続けるソフトウェアを使ってゲームプレイの邪魔をしてたので本当に嫌われていた。

だがそういう問題さえ解決してしまえば、本当に気晴らしでゲームを遊びに来る人たちが、少し多めにお金を払うことでゲームを有利に進められ、気分良くリアルワールドに帰っていってもらえるよいシステムになるのではないか、というのはよくゲームをやってたころから考えてはいた。

そういう経済システムがまわるようになれば、ゲームをしてるだけで暮らして行けるような人たちが出てくるのではないだろうか。ニートゲーをしてるニートの暮らしを支える最低限の収入があればいいわけで。

しかしこれは真面目に働くのと同じくらい儲かってしまってはいけない。おいしい商売はきまじめでお金持ちになりたい人たちが参入してしまう。ニートしたい人たちがニートできる環境を守れればいい。

なぜこんなことを考えたかというと、優秀でなければ仕事が無い時代の幕開けという記事でも書いたように、優秀な企業はますます優秀な人材以外を必要としなくなり、優秀でない企業は淘汰され消えていくのではないかという予測とも不安ともつかぬ思いに由来する。

そうでなくても仕事が無い時代に日本人は生きてる。無理に働くよりニートゲーでニートしてたほうが幸福ではないかと思うのである。ゲームをしてる限り達成感は得られるし、ゲーム内で生産したアイテムを販売して他人に喜んでもらえる幸福も味わえる。ギルドのメンバーを率いて統率し、一緒に目的を達成する喜びだって味わえる。

生活費のことさえ考えなければ、ニートゲーは割と幸福を生み出す力があるのだ。

さとい人はお気づきだろうが、ネットゲームは割と現実に近い。ゲーム内にも経済システムがあり、相場があり、販売の競争や駆け引きがある。俺が昔やってたゲームでは、畑で小麦を刈り取り、教会に持っていくともらえる聖水を集めて、街まで運んで販売して稼いでいた。稼いだゲーム内通貨は、街で他のユーザーが販売してるアイテムを買ったりするのに使っていた。それはハイレベルユーザーたちがダンジョンで見付けて来たレアアイテムだったり、生産スキルの高いユーザーが作った装備やアイテムだったりした。

めんどくさいことを引き受ける人がいて、それに対してお金を払う人がいる。特殊な技能を必要とする人がいて、それに対して対価が発生する。目的を達成するために人を集め、苦労をともにし、喜びや悔しさをわかち合う。成果があがれば、尊敬だって集まる。現実と何も変わらない。得られる喜びもたいして変わらないのだ。

よくゲームは人を堕落させ、スポーツは人を成長させるなんて思いこんでる人がいるが、そんなのも変わらない。スポーツだってゲームの一つだ。スポーツから学べることは多いという人は、たまたまその人がスポーツからたくさんのことを学んだだけにすぎない。実際俺はスポーツよりゲームからたくさんのことを学んで来た。ゲーム仲間たちのことは今でも親友だと思ってる。

さてはてそうしたゲーム内における価値創造を実現してしまえば、公共事業などよりよほど失業率改善に効果があるのではないか。そしてなによりそのへんのリアルワールドの仕事よりよっぽど労働者たちが幸福なのではないかと思う次第なのである。

同じワーキングプアなら、毎日通勤して上司の顔色伺いしてヤな客に嫌味などいわれて過ごしたあげく、親から結婚はまだか孫の顔は見れないかなどと言われるたびにワープアなんで無理ですすんませんとか言い訳してるより、ゲームワールドで活躍してた方がどう考えても幸福総量は大きくなるであろう。

少子化対策がすでに手遅れな以上、こうした幸福総量増大の方策も必要なのではないかと思うのである。

Sugano `Koshian' Yoshihisa(E) <koshian@foxking.org>