iPhoneを手に入れて3ヶ月ちょい、iPod touchを手に入れてから1年ちょっとが過ぎた。衝撃的だった2007年のiPhoneデビューを、俺は指をくわえて見ていた。いろいろと、悔しいなと思うところもあるのだが、あまり大きな夢を見てもしょうがないし、ユーザーとしてiPhoneに満足するところに留まっている。
いやだがしかし、iPhoneは間違いなく俺に大きな影響を与えている。ユーザーインターフェイス。その重要性を俺に気付かせてくれたのは、やはりiPhoneだったと思う。
あれ以来、工業デザインに興味が出てきて、いろいろ考えこんだり、情報を集めたりしはじめてしまった。とはいえ俺はデザイナーではないので、特に何かを作れたわけでもないのだけども。
さぁ、攻めるぞ。という記事。Windowsで人気のあるタブブラウザSleipnirを作っているフェンリル株式会社さんの開発ブログの記事だ。
新しい Sleipnir では、「カスタマイズ」「上級者向け」に加えて、
さぁ、攻めるぞ。 (フェンリル | デベロッパーズブログ)
「エレガンス」というテーマを掲げています。
上図のように、「エレガントなユーザー・インタフェイス」「エレガントなグラフィックス」
そして「エレガントな内部設計」を追求することで、文字通り「優雅な」Sleipnir を
作り上げる事ができます。
何かこれを見て、iPhoneっぽいなあなんて思ってしまった。まあ、さすがに関係無いんだろうけど、なんて思ってたら
フェンリル | 採用情報 | 募集職種 | Mac OS X/iPhone エンジニア
あれ、フェンリルさんiPhoneエンジニア募集してる。Windows用のソフトしか作ってなかったと思ったのだが……やはり今のところWindows用しか見当たらない。iPhone用もMac用もなさげっぽい。
元々SleipnirはUIだけのソフトという言い方もできるだろうし、iPhone以前からもUIやデザインについてすごくよく考えてらっしゃった様子もある。
もしかしたら、それだけにiPhoneの衝撃を、俺以上に受けたのかもなあ、なんて思ったりした。いや、ホントのところは本人じゃないとわからないんだけどさ。
AppleというのはコンピュータのUIを文字通り作り上げて来た企業。もちろん信者が思い込んでるように全部がAppleオリジナルじゃないけど、Appleというベースがあったからこそ生まれて来たものがとても多い。
そのApple最新作こそがiPhone。iPhoneの提案したデザイン、ユーザーインターフェイスは、すでにWindows MobileやAndroidなんかにも採り入れられはじめている。
正直、iPhoneで一番衝撃を受けたのはその動きやインターフェイスやデザインやユーザー体験なんかじゃなく、50代60代の人たちが嬉々として写真を見たり子供に操作方法を教えたりしてるところ。
話題の製品だっただけにどこにいっても「見せて見せて」って言われるんだけど、ちょっとやってみせるだけで老若男女みんながタップ、ピンチといった操作を覚えちゃう。そしてそれをすぐ人に見せようとするんだ。おかげで一度貸すとしばらく手元に戻ってこない。
そうやって夢中になるのはむしろ50代60代の人たちが多い。10代や20代のガラパゴスケータイ世代のほうがむしろ興味無さそうにしてる。
ぶっちゃけガラパゴスケータイは使いにくい。若さで乗り切って自分のものにしてきた人たちにとってはもうそれが当たり前で他の操作形態なんて考えられなくなってるのかもだけど、その使いにくさとまだ格闘してる人たちにとっては、iPhoneは救世主のような存在なんだろうな。
こういう直感的で、触ってて楽しい、大人も子供も老人もみんな目を輝かせて操作する、そんなインターフェイスを目の当たりにしたら、そりゃあ衝撃も刺激もハンパなく受ける。
きっとiPhoneやiPod touchを買ったエンジニアは、今もその刺激をずっと受け続けている。やっと1年たってそれが日常になってきた感が自分にはあるけど、だからといって飽きたとかそういうのは全然無い。
iPod touchもiPhoneも、発売されてすぐ買ってホントに良かったと思う。話題性があるうちに周囲の反応をダイレクトに見れたし、そのポテンシャルを恐ろしいほど体験させてもらった。
きっと、こういう体験をしてる開発者はたくさんいる。Sleipnirの作者さんがそうだとは限らないけど、少なくとも俺だけということはないだろう。
彼らがこれから作り出す製品は、きっと今までのようなUIじゃ自分自身が満足できなくなる。もっと直感的に、もっとエレガントに、もっとシンプルに。そう、iPhoneのように。
「正しい答え」を知った開発者たちが、次代の製品を作り上げる。そんな未来が、少し見えた気がする。