なぜか荒れがちなOSネタなのだがそれもまたおもしろいのでまた書く。
こう、そのへんのLinux distroを自分のPCに突っこんで評論してるような類の人は昔から多くて、だから「インストールをもっと簡単にしないと普及しない」なんてちょっと的外れな意見も出てきたりしてた。
でも実はそんなの普及の阻害要因じゃないんだよね。
なんでってそんなの簡単な話で、「普及」の対象はそもそもインストール作業なんてしないから。
Windows95時代でも、95の再インストールをしたことがあるというだけで「それはすごい!」という扱いだったりしてたわけで。今は知らないけど、そもそも再インストールの必要も無くなってるしメーカーはリカバリCDになってるから、余計にインストール作業経験者は少なくなってるんじゃないかな。
で、2chあたりでそんな論争してる間に時代はどうなってたかというと、
- 某社エレベータの制御にLinux
- カーナビにLinux(Sony等)
- 携帯電話にLinux(DoCoM Nシリーズ等)
- 銀行システムにLinux(UFJ銀行など)
- テレビの中にもLinux(国産薄型テレビのほとんどがLinux搭載)
という感じで組み込み向けを中心にえらい勢いで普及しまくってる。
Windowsも組み込み向けを頑張ったようだけども、このへんはLinuxがずいぶんとリードしてるのよね。
さらにはEeePCやXOといった小型軽量の格安ノートPC(UMPC)に搭載されて大ヒットの兆候。MSが慌ててWindows XPの販売を延長しちゃったりしてるくらい。
そもそも「パソコン」を難しくしてるのはWindows自身なんだよね。難しいからこそユーザーの団結も強くて、FAQを集めたりインストール手順を画面キャプチャと共に解説するサイトを作ってくれてるボランティアが大量にいるわけで。
Mac買ってみて気がついたのはそのへん。Macのソフトはそういう懇切丁寧な解説書かれてる事なんてほとんどない。
そもそもMacのソフトでインストールに解説が必要なものってあんまり無いんだよね。dmgファイルをマウントしてpkgファイルをダブルクリックするとか、「アプリケーション」フォルダにドラッグ&ドロップして完了、だもの。
任天堂の製品は説明書読まなくても使えるからOK的な簡単さがある。なんとなくわかるでしょ? っていう、ある意味突き放しなんだけども。*1
じゃあなんでMacがいまいち広まらないのか、というと、実は広まってるんだなこれが。
大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」を見ると、東京圏に限ればAppleの販売シェアは富士通に匹敵したりしてんのよな。
日本は保守的なせいか全体で見るとMacのシェアは横這いみたいだけど、他国ではえらい伸びを示してたりもする。
閑話休題。
そんなわけでEeePCみたいなのを通してLinuxデスクトップも広まってくんだろうね。実際日本ではそうでもないのだが、EeePCの購入者は台湾では主婦が6割なんだそうだ。
Windowsみたいに画面せましと広がるスタートメニュー*2を辿らなくても必要なアプリケーションが大きなアイコンで並んでるし、ブラウザ、メール、スカイプ、Office等々、普通に使うものは揃ってるんだからあんまり問題にもならないんだわな。
IceWM採用したのも英断という気がする。デフォルトのGnomeをそのままいれてるようだったらWindowsとそんな変わらないだろうし、あの画面ではちょっと狭かったろう。
でもアプリケーションはちゃんと動く。OSのUI*3が変わっても動くアプリケーションは変わらないというのはLinuxの大きなアドバンテージだろうね。
昔は印刷回りでよく困ったけど、今はCUPSとgutenprintが頑張ってくれてるから、たいていのプリンタは動いちゃうんだよな。もっとも、PDF出力してネットカフェに持ってけばいいし、プリントアウトなんて滅多にしないんだから、プリンタ買う必要も無かったりするのだろうけど。
たぶん企業ユースはOpenOffice.orgが牽引役になって官公庁中心にそこそこ広まるんだろうな。アシスト社のOpenOffice.org支援サービスなんかを住友電工が採用してたりするし、会津若松市が全庁導入したりしてるしね。ODFのネイティブサポートが大きいみたい。
Linuxデスクトップを役場丸ごと導入なんてところもあるわけで。着実に足を伸ばして来てるよなあ。
Debian GNU/Linuxをメインマシンとしてデスクトップ用途に使いはじめて8年目になるけど、こんなに広まるとは思わなかったな*4。Dellあたりがプリインストールマシンを日本で発売するのも近いだろう。*5
なんともかんとも、感慨深い。