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狐の王国

人は誰でも心に王国を持っている。

危険なのは海外ではなく標的にされること

大切な人を護るために。海外での危機管理の話という記事。海外旅行慣れするといろいろノウハウもたまるし、危険な目に合うこともあるだろうから、こういうことを書きたくなる気持ちはわかるし、内容的にも「うん、旅行者はやっておいたほうがいいね」と思えるものが多い。

けどね、これで「日本は安全」と思ってしまうことは本当に危険だと思う。誰もそんな事言ってないのに、書いてないことを読み取るマンというのは一定数いて、実際にはてブコメントにも「日本ってすばらしい」なんて書いてる人がいた。

日本は治安のいい国だ。だがそれは比較的、というだけで、別に安全な国というわけじゃない。

たとえばカフェでノートパソコンを開いたままトイレに行く人がいる。俺は怖いのでどこの国でもやらないが、これをやって比較的安全なのはむしろ東南アジアのような国だったりする。

日本のカフェはいろんな客層の人がいて、中には貧乏な人もいる。けど東南アジアのカフェにはそもそも貧乏な人が入ってこないので、そんなもの盗まないのである。実際俺の聞いたことがあるカフェでのノートパソコン盗難は日本だけだ。もちろん絶対というわけじゃないから、俺はやらないけれどね。

大前提として、犯罪とは貧困が引き起こすものだということがある。犯罪発生率は貧しさに比例する。日本も貧しい時代は犯罪がたくさん起きていた。

昔のアニメや漫画やドラマは貧しくても頑張って清く生きているなんてものが多かったが、あれは「ほとんどの貧しい人は犯罪を起こしやすい」ということが大前提なのだなと思った。その大前提を踏まえた上で「清く」生きてるからすばらしい物語になるのだろう。

貧しさはモラルが低下しやすい。日本でも「税金は金持ちから取れ」という声が聞こえる。金持ちからは多少金を奪ったところでどうということはないだろうと割と多くの人たちが思ってるのは間違いない。合法的に奪うか非合法に奪うかの差はどれほどだろうか。

こうした低下したモラルの標的になること。それが最大のリスクだ。「あいつからは奪っても問題ない」と思われないことが重要だ。奪われるものはたくさんある。現金、幸福、健康、社会的地位、命。

こうして考えれば、別に気をつけなくてはならないのは海外だけに限らないのはわかるだろう。多くは貧しさに起因するがそれだけでもない。「モラルの低下」はどこにでもある。犯罪の構造はいじめの構造とそんなに変わらない。「あいつから奪っても問題ない」と思われれば標的にされるというだけだ。

海外でのリスクというのは、「旅行者」というのがその標的にされやすいということなのだという理解はしておいたほうが、変な誤解はしなくていいと思う。現地の相場も知らないしどうせ余所者だしそれなりにまとまった金持ってるだろうし、というわけで狙われやすいのだろう。そもそもが目立つしね。

俺もバンコクに部屋があるし、今はラオスビエンチャンにいる。年に一度はカンボジアプノンペンにも訪れる。マレーシアはクアラルンプールとペナンに行ったことがある。海外には比較的慣れてきたかな、と思う。

そして旅行者の多い地域をうろうろしてるというのもあって、今では日本人の見分けがつくようになってきた。日本人、そりゃ狙われるよな、と思うこともある。

まず服装がとても小奇麗だ。髪の毛が清潔で、整えられている。無造作風にしていても本当に無造作ではないのがわかる。白い服は、白さの意味が違うレベルで白い。なのですぐ日本人だなとわかる。女性の場合は化粧でわかったりもする。最近はぽつりぽつりとそういう韓国人もみかけるようになってきたけれども。

そして日本人はお金を持っている、とみな認識してる。日本はついこないだまで世界第2位の経済大国だった国だ。日本人だと見分けがついて、お金を持ってると思われたら、そりゃあ狙われる。

なので俺は日本人だと思われることがまず怖い。最近はそうでもないが、できるだけ汚い格好をするように心がけていた。そもそもがオタクなので汚い格好は楽でいいし、緊張もほぐれる。服も現地で買ったものを着るようしたり、ジーパンもボロボロになってきてもあまり気にせずそのまま履いてたりする。

発音や挙動でバレたりするので、「マイアオ(タイ語で要らないの意)」の発音をできるだけ頑張ってみたり、笑顔を見せないようにしたり、とにかく日本人だと思われてなめられないように気をつけていた。

それでもバレる。マレーシアでショップに入った時、日本語で書いてあるよくわからない文字を見て「ん?」と考えこんでると、「Japanese!? Japanese!?」と聞かれたりしたのでこれはボッタクリ狙いだろうとすぐ店を出た。

最近はもう諦め気味で堂々と日本人然としてしまうのだが、貧乏そうにはするようにしてる(いやそもそもそんなに豊かな方でもないが)。実際に現金もあまり持たないようにしてる。以前はさっぱりわからなかった旅行者っぽさとかがわかるようになってきたので、自分ではわからなくてもあいつらには金を持ってるかどうかわかるんじゃないかと思ってるからだ。だったら実際に持ってなければいい。クレジットカードなら盗まれてもどうにかなるし。

こういうことは、海外にいるから特に、というわけではない。日本にいても俺はもともとそんなに変わらない対策をしている。弱そうに見えるオタクというのはむしろ日本にいるからこそターゲットにされがちなのである。

東南アジア諸国の街を歩く時の気持ちは、夜の新宿を歩くよりは安心している。先日日本人男性が強盗に殺害されるという痛ましい事件のあったカンボジアプノンペン。夜も比較的遅くなった時間だとさすがに新宿よりは怖い。でも昼間は新宿の夜のほうがずっと怖い。

俺の部屋があるバンコクシーロム地区はそんなに緊張することはない。慣れてるのもあるが、さほど治安が悪い地区でもないからだ。新宿ほどではないが、日本の繁華街、有楽町や銀座を歩くくらいの緊張感。どちらもひったくりが多発してるので、ちょうど同じくらい。

同じバンコクでもスラムが近い方やチャトチャックの週末市場などは大変緊張する。一度3年くらい前に iPhone 3G をすられたこともあるし、実際スリが多い。昔の人ごみのひどかったアメ横を歩いた時と同じくらいの緊張感だ。

週末市場で iPhone 3G を盗まれたのは恥ずかしながら油断して、日本の母からの着信をそのままとって日本語で通話したあと、そのまま腰にぶら下げたホルダーに入れてしまったのである。次にふとホルダーに手をやったときにはなくなっていた。チャトチャックのスリは本気でやばいので、財布すら持っていかず現金をバッグにいれて、現金が周りから見えないようにするなどの対策をとっている。この時はふと油断してそうした対策を忘れてしまった。反省。

っと、ちょっと長々と書きすぎたかな。

そんなわけで犯罪対策はそれなりにみんなしているだろうけれども、俺なりにしていることも書いてみた。

そして特に若い人たちに海外に行ってみて欲しいなと思うのは、まず日本の安全が「神話」でしかないことを知ってもらいたいというのもある。そりゃ日本じゃ味わえないような危険も味わえるけど、そんなのわざわざ危ないところ行かなければ遭遇しませんって。

海外での犯罪被害は大きく報道されがちだけど、日本でもたくさん起きてることは知っておいて欲しい。旅行で気をつけなくてはならないのは、あちらが危険というよりも、こちらが狙われがちだからなのである。

Sugano `Koshian' Yoshihisa(E) <koshian@foxking.org>