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狐の王国

人は誰でも心に王国を持っている。

日本のIT業界が勝てないのは経営者がアホだからじゃね

えーとなんかいろんな知人友人恩人も巻き込んでしまいそうな見出しを付けといて非常に申し訳無いのではあるけれども、やっぱいろいろ考えるとここに行きつくのかなあという気がしている。

いろいろ見解はあるかと思うが、日本のIT業界のレベルが非常に低いというのは多くの人が感じているであろう。技術立国とまで言われた技術大国である日本が、なぜことIT業界、それもソフトウェア業界でまったく諸外国にたちうち出来てないのかというのは、業界の中にいる人間としても非常に悔しく思っている。

だから常になぜ勝てないのか、なぜもっとよくならないのか、どうしたらもっとよくなって、そして勝てはしないまでも対等に戦えるようになれるのか、というのは常々考えてしまうところはある。

先日たまたまその原因の一端をある人から話して頂き、議論を重ねる機会を得た。

その話の中で、他にも日本が苦手とする分野ってけっこうあるよね、ということになり、そのへんを洗い出してみると……

  • 組織スポーツの監督
  • レーシングカーのシャシー
  • ロケット

などなどが出てきた。これらとソフトウェアの共通項はなんだろうか?

特にレーシングカーのシャシーなんてのは自動車業界でバカみたいに大勝利をおさめてる日本がなんで勝てないのか本当に不思議である。スポーツの監督もなぜか海外から招聘することがおおすぎやしないか。

いろいろと議論を重ねた結果、出てきたのは「要素の多さ」ではないかということだった。

たとえばF1のシャシーというのは空力や重量バランスを考えて作るものであるはずだし、剛性というのも単にかたければいいというわけではなく、ねじれをどうコントロールするか、といった要素も絡んで来る。

サッカーだってルールは簡単でも、ボールをどうゴールまで運ぶか、そのためにメンバーたちをどう選出し、どう運用するか、というのは相当複雑な要素が絡んでいるのではないだろうか。

ソフトウェアも実は同様で、大きなシステムになればなるほど絡んで来る要素は非常に多くなる。純然たるソフトウェア工学の知識だけでシステムが組めるかというとそういうわけでもなく、顧客の業務もある程度知る必要があるし、特にウェブシステムなどであるとブラウザの仕様やバグ、予想外のアクセスなども考える必要がある。そこにUI設計も入れば心理学的な知識が必要になってくることだってあるし、いわゆる美術のセンスも問われたりする。

ひるがえって要素の少ない、あるいは狭い領域となると日本は強い。シャシーではほとんど勝てやしなかったF1だってエンジンでは天下を取ったし、家電製品はどんどん海外で売れていた。サッカーだって個々人はトップレベルで戦える選手もいたりするではないか。つまり現場の職人とか選手とかが悪いわけじゃないはず。

そう考えていくと、ようするに上に立って陣頭指揮を取る人間、つまりは経営者たちが無能なんじゃないかという疑問にぶちあたるのである。

現場レベルでどうにかできるような規模であれば現場がなんとかしてきたし、そういった事例はNHKプロジェクトXという番組でいくつも紹介されて来た。しかしそういう規模ではなく、もっと大きくて複雑な全体像を描かなくてはいけないプロジェクトでは、悲惨な結末ばかり聞こえて来る。

そしてソフトウェア開発というのは、「現場レベルでどうにかできる」ような性質のものではないのである。

そりゃあもちろん設計をカバーするようなhackでどうにかしのぐ、なんてことはできないわけじゃないけど、そんなのはしょせんhackでしかないし、必要な機能もインターフェイスも出来てなければ仕様もあがって来てない状態で書けと言われたって書けやしない。

上がきちんと仕事を切り分けて分配しないと、複数の会社が絡むような大きなプロジェクトは動かせないはずなのである。

ましてや業務システムともなればコードが経営の一部になる。業者に任せっきりの経営者ではまともな業務システムを発注することすら難しいであろう。サッカーの監督が自動でメンバー入れ換え指示を出す機械を使ってて「俺はよくわからないけど勝手に指示出してくれるから楽でいいんだ」とか言ってたらなんか変だと思うだろ?

それと同じような事を意外と多くの経営者たちはしてしまってないか?

全体を俯瞰し、問題を切り分ける努力を放棄してないか?

常識とか空気読みとかに頼って現場に判断を押しつけてないか?

もしあなたが発注したり陣頭指揮を取ったりする立場でそういうことをしていたら、あなたは自分が無能であることを疑わなければならない。そして役目を他に譲る勇気を持つべきだ。

あなたはシステムを完成させることは出来ないし、出来上がったものはかろうじて動いてたにしても次から次へと問題が明らかになるであろう。そのたびに追加料金もかかるしお金が無くてちょっと脅せばはいはい言うことを聞いてくれるような技術力の無い企業に発注せざるを得なくなる。

そうしてできあがったものがまともに動くわけが無いだろう。

もうサッカーが外国人監督を招聘するように、日本企業も情報システムディレクターを海外から招聘すべきなんじゃないか、というアイデアも、先述の議論の中で出てきた。

しかし俺は日本人の誰もが大きな設計ができないとは考えにくいと思ってる。ようするにそういった能力のある人間を適切に配置できてない経営者が無能なんじゃないか、と考えるに至ったのであるが、どうだろうか。

Sugano `Koshian' Yoshihisa(E) <koshian@foxking.org>