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狐の王国

人は誰でも心に王国を持っている。

ニュースから読み取らなければならないもの

先日の記事はちょっとツッコミを入れてみただけのつもりだったのだが、えらい反響があってびっくりした。我が狐の王国史上最大の反響だろう。アクセス数も本日分だけで万単位である。

さてはてその「ちょっとツッコミを入れてみた」だけの記事に何やら政治的意図などを読み取った方が何人かいらっしゃったようだ。権力の犬だの橋本知事の味方をしてるだのといったコメントが寄せられ、あまりにもこちらの意図からかけ離れた読みをされてしまったもので、思わずiPhoneを抱えて笑い転げてしまった。

まあ見出しがそのように見える「釣り」だから因果応報だ、という指摘もあるので、笑ってばかりもいられない。少しは反省しろ >俺

前置きが長くなったが、いい加減に本題に入る。
このような記事への反応を見ていると、どうしても保育園が悪いとか大阪府が悪いとかそういった善悪論になりがちなのが気になった。確かに育ててきた作物を潰された子供たちはかわいそうだと思うし、その犯人探しも重要かもしれない。が、本当に重要なのは似たような事例が自分の身に降り掛かったときどうすればいいのかということである*1

もし自分の住んでる場所を道路にしたいから立ち退いてくれと言われたとき、自分ならどう対応すべきだろうか。行政は適切に補償を積んでくれるのか。立ち退き期間は充分に取ってもらえるのか。言い方は悪いが行政側を焦らす限界点はどこにあるのか。サツマイモ収穫などのスケジュール的な事情を行政は汲んでくれるのか。

そういった事を俺はニュースから読み取りたいのである。

だから今回の行政代執行についてはなぜそこに至る事になったのかというのが俺の最大の関心事であり、権力だのハシシタだの大坂民国だのはどうでもいい話なのである*2

短い人生、なかなか行政と直接交渉しなければならない事態なぞには巡り合えない。実際に遭遇してトラブルになった人の事例は貴重なのである。

また、前記事を書いたときは知らなかったのだが、はてブコメントやトラックバックから今回の道路は第二京阪というかなりでかい規模の道路計画であることを知った。

緑立つ道はどんな道?

ここにその道路計画のサイトがある。go.jpのアドレスなので公式だろう。

道路計画事業そのものが色々と批判の的なのではあるが、必要な道路なら作ってもらわないと困るのは我々市民だ。うちの近くにも新しい道路が建造中で、完成すれば買い物のための移動時間が半分になるはず。ガソリンも食わなくなるし、広い道なので自転車でも安全に走れそうだから、CO2排出量的にも経済的にも非常に期待している。

第二京阪道路と大阪府と芋掘りの想い出。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月

こちらの記事が第二京阪を巡る周辺事情について、詳しい情報を提供してくれている。

で、詳細を聞いて驚いた。彼らは朝6時に京都市内北部を出発したのだという。3時間もあれば大阪に……と思っていたのが、9時間かかったのだという。ウソちゃうのと思ったのだけど、憔悴しきった彼らを見ていると、たぶん事実だったのだろう。

大阪と京都。JRの新快速だと30分ほどで結ばれている両都市を結ぶ道路は、

と、この3ルートしかない。京阪間を結ぶ鉄道が東海道新幹線東海道本線阪急京都線京阪本線と4路線あるのと比べると、その脆弱さは際だっている。

第二京阪道路と大阪府と芋掘りの想い出。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月

9時間。電車だと30分のところが9時間だそうだ。

個人レベルなら車を使わなきゃいいやで済みそうではあるが、実際にはなかなかそうもいかない事があるのは大都市以外で暮らしたことのある人間ならわかるだろう。これなら道路は作ってもらいたいだろうなあ。

またこうも言う。

まあ、土地を取られるのって、経済合理性や理屈だけでなく、過去からの様々な感情的なモノも絡んでくる。そこらも想像してあげて欲しいと思う。

第二京阪道路と大阪府と芋掘りの想い出。 - とれいん工房の汽車旅12ヵ月

北巣本保育園の畑問題から「ムーブ!」という大坂のTV番組が今回の問題について取材した動画を見させてもらった。
それによると450年前に先祖が開拓した土地だそうで、さらには相続から20年農地として使えば相続税が免除されるという制度が適用されるまであとたった1年だったこと、突如名義変更されて19年分の税金2300万円がいきなり請求されて来たことなどが語られている。これもあまりに保育園側に偏った一方的な報道だと言わざるを得ないが、それでも情報量の多さは評価するべきだろう。

個人的には保育園側に同情的ではあるのだが、もうちょっとうまく立ち回れなかったのか、行政のどういうところが問題だったのかなどを知りたいのである。今回の道路計画に関してはさほど大きな興味は無いのだが、適切に税金が使われてるかどうかという点ではそれもまた知りたい話ではある。が、道路計画そのものの是非までごっちゃにして語ると問題が複雑すぎて手に負えなくなるので、わけて考えたいところだ。

もちろん2chあたりで邪推されてるように「ただのプロ市民の反対したいだけの反対」だというなら、それはそれで結構。そういう活動なら活動として別の参考にするまでで、俺の知ったことではないからだ。

そういうわけで、産経新聞始めマスコミはマスゴミと呼ばれたくないなら、きっちり俺らが必要としてる情報を提供してくれよ、と思うのである。ストーリー作りは決して悪いことばかりじゃない。理解が容易になるし考え方の一面も提供してくれる。だがそこに情報を盛り込む事とは決して矛盾しないはずだ。

我々はニュースを娯楽として消費してるだけ存在ではない。そこから自分自身の人生への影響を推し測り、必要な措置を準備するだけの情報が欲しいのだ。

追記

はてぶコメントで報道資料の在処を教えていただいた。

第二京阪道路建設工事に係る行政代執行について - 大阪府/報道発表資料

これを見ると事実上の交渉決裂は昨年2月27日の収用裁決申請っぽいね。その時点で「どう子供を守るか」に切り替えてくれなかった保育園側にはちょっと思うところもあるなあ……。

またやはり執行停止申立(4月10日)と地裁での却下決定(10月1日)のスケジューリングが微妙すぎる。申し立てした時点で明け渡し期限はある程度見えてたと思うのだが、それに間に合わないスケジュールというのが解せないよなあ。裁判所がアテにならんということかい?

*1:かわいそうだレベルで話してると今年中頃にあった「トリアージ論争」みたいなことになる。遠く他人のかわいそうな話に怒りを持つのは悪くは無いが、それだけではただニュースを娯楽として消費してる事にしかならないことは肝に命じておくべきだと、俺は思う。

*2:もっとも橋下知事は嫌いじゃない。既得権益に立ち向かう人を俺が嫌うはずが無いだろう。やってることは失策が多いように見えるから知事としての評価は微妙ではあるけどね

Sugano `Koshian' Yoshihisa(E) <koshian@foxking.org>