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狐の王国

人は誰でも心に王国を持っている。

保育園のイモ畑を潰した大阪府は本当に鬼畜なのか?

マスゴミマスゴミたる所以の一つに、まともに情報を提供しないというものがある。勧善懲悪のストーリーにのせないと記事にならないという都合があるらしいが、そんなの知ったこっちゃねえよ。

野菜刈り取られ…涙ぐむ園児 保育園の畑を大阪府が行政代執行 (1/2ページ) - MSN産経ニュース

この記事がいろいろひどいと思った。何がひどいって大阪府がいたいけな子供を泣かせてるというストーリーで書かれてて、あまりに一方的すぎて素直に読めば「橋本知事ひどい!」になるし、うがって見れば「保育園あやしい政治団体みたいだな」になりがち。

そうなるのはストーリーを作るだけでまともに情報を提供してないからだ。

まず重要な情報として、強制立ち退きが決まった日付が無いのがひどい。別記事によると、

松本さんは、平成15年に用地買収の交渉が始まっても「畑は園児たちにとって食べ物のありがたさや自然の雄大さを学んでもらう大切な場所」として用地売却を拒否していたが、今年3月に強制的な立ち退きが決定した。決定の取り消しを求めた大阪地裁での裁判でも「同園での食育活動は、他の代替地でも可能」などとして訴えは棄却され、現在も係争中だ。

保育園の野菜畑 行政代執行で立ち退きへ 大阪・門真 (1/2ページ) - MSN産経ニュース

とのことで、交渉自体は5年前から始まっており、強制立ち退きが決まったのが今年3月であることが書かれている。これだけ見ると強制立ち退きが決まってたにもかかわらずイモを植えた保育園側に政治的意図でもあったかのようにも見える。

しかしここで我々は自分のサツマイモ栽培の知識を疑わねばならない。

新梅田シティで園児らが農作業体験−サツマイモの苗を植え付け - 梅田経済新聞

こちらの記事によると大坂の梅田あたりの幼稚園で5月28日に植え付けを行っている事がわかる。

サツマイモ栽培(1/2)

こちら、画像で読みにくいのだが、サツマイモ栽培には早掘り栽培と普通栽培があるということがわかる。早掘りは9月中旬までに収穫を終えるので、今回の保育園は「あと2週間」ということからも普通栽培であることが見て取れる。
梅田経済新聞の記事から察するに、大阪あたりの地域でも普通栽培での定植(植え付けと同義だよね?)は5月下旬あたりに行うのが普通なのであろう。

ちなみに上記記事によると早掘り栽培なら5月上旬までに植え付けを行えば9月中旬までに収穫可能なことがわかるし、普通栽培でも10月中旬は収穫真っ盛りの時期であることがわかる。

次に法知識も疑ってみよう。

府は今月6日、強制的に撤去させる代執行令書を保育園側に交付。園側は立ち退き取り消しを求めた裁判を起こした。訴訟はまだ係争中で、大阪高裁が30日に決定を出す予定となっているが、府は高裁決定を待たずに代執行に踏み切った。

野菜刈り取られ…涙ぐむ園児 保育園の畑を大阪府が行政代執行 (1/2ページ) - MSN産経ニュース

行政代執行というのがどういうものなのかを再確認してみる。

代執行をなすには、原則として、相当の履行期限を定め、その期限までに履行がなされないときは、代執行をなすべき旨を、あらかじめ文書で戒告しなければならない(3条1項)。 義務者が、この戒告を受けて、指定の期限までにその義務を履行しないときは、当該行政庁は、代執行令書をもって、代執行をなすべき時期、代執行に要する費用の概算による見積額等を義務者に通知する(同条2項)。

行政代執行 - Wikipedia

つまり履行期限がいつだったかという情報が必要になるのだが、その情報がやはり記事にはない。立ち退き取り消しを求める裁判中であればこのようなことができなさそうに見えるのだが、少なくとも代執行が行われたということは履行期限は過ぎていたのだろう。なぜ保育園側は履行期限が過ぎるような裁判をしたのかがまったく不明。

1.土地収用制度とは

この記事がわかりやすかった。

道路、河川、空港、下水道、学校、公園、ダムなどの公共事業のために土地が必要となった場合、通常は、その事業の施行者(起業者といいます。)が土地所有者や関係人と話し合って、任意で契約を結んでその土地を取得します。
しかし、補償金の額などで折り合いがつかなかったり、土地の所有権について争いがあったりして、話し合いにより土地を取得できない場合があります。
このような場合に、起業者が土地収用法の手続をとることにより、土地所有者や関係人に適正な補償をしたうえで、土地を取得することができます。このような制度を土地収用制度といいます。

1.土地収用制度とは

強調は引用者がが行った。

「適正な補償」が無ければ土地収用ができないことがうかがい知れる。では大阪府が行った補償の内容とはなんだったのか。保育園から遠い土地の提供だったのか。土地が買えないほど少ない額だったのか。記事からはまったく読み取れない。

ここまででわかったことは以下の通り。

  1. 交渉期間は5年程度
  2. 強制立ち退き決定から植え付け実行まで2〜3ヶ月程度
  3. 大阪府の土地収用における補償の内容が不明
  4. 履行期限が不明
  5. 代替地候補の有無も不明
  6. 保育園のサツマイモ収穫は10月末ごろを予定
  7. 通常普通栽培におけるサツマイモの収穫は9月下旬から11月上旬

保育園側に対する疑問は以下の通り。

  1. 決定から2〜3ヶ月で代替地は探せなかったのか
  2. 履行期限と収穫日程の調整は行ったのか
  3. 5年に及ぶ交渉期間内で代替地候補はまったく出てこなかったのか
  4. 立ち退き取り消し裁判は勝算がほんとうにあったのか

大阪府に対する疑問は以下。

  1. 代替地ないし代替地を買収可能なだけの資金は補償したのか
  2. サツマイモを今年も植え付けていたことは知っていたのか
  3. 収穫日程と履行日の調整は可能ではなかったのか

そして何より産経新聞への疑問は、こういった情報を取材できなかったのか、ということである。

注意

俺は農業についても法律についても素人である。なので上記の情報はすべてちょいとネットを検索しただけ。でもちょいとぐぐっただけでもこの程度の情報は集まるのである。天下のマスメディアがこの程度の知識を調べられないはずはないだろう。
やはり今回は産経新聞の記事の作り方に問題があると考えざるを得ない。

Sugano `Koshian' Yoshihisa(E) <koshian@foxking.org>